愛着障害の克服を目指す人にとって、もっとも大切な土台となるのが「安全基地」です。
しかし「人が信じられない」「甘え方がわからない」「一人で頑張るしかない」と思っている方にとって、安全基地はとても遠く、難しく感じられるものかもしれません。
でも、だからこそ、意識的に「安全基地をつくる」ことが、愛着障害を乗り越える一歩になります。
この記事では、安全基地とは何か、どんな条件があるのか、自分で作る難しさとその解決法について解説していきます。
安全基地とは?

「安全基地」とは、自分が安心して戻れる場所・関係性のことです。
それは物理的な空間かもしれませんし、誰かとの関係の中にある心の拠り所かもしれません。
大人であっても、安全基地があるからこそ、新しいことに挑戦できたり、つらいときに立ち直ることができたりします。
乳幼児にとっての安全基地は、主に母親や養育者ですが、大人になってからは、信頼できる他者(友人、パートナー、カウンセラーなど)や、自分自身との関係が安全基地になりえます。
安全基地の条件

では、どんなものが「安全基地」となりうるのでしょうか。以下のような要素があることが理想です。
- 無条件の受容がある(失敗しても否定されない)
- 感情を否定されない(悲しんでいい、怒っていい)
- 過度にコントロールされない(自分で決める余地がある)
- 存在を大切にされていると感じられる
- 一貫性のある対応がある(今日は優しくて明日は冷たい、がない)
このような条件がそろってはじめて、人は「ここにいても大丈夫」と心から感じられます。
安全基地の種類

上のような安全基地の条件に当てはまるものには、いくつかの種類があります。
1. 対人関係の中の安全基地
信頼できる人との関係(パートナー、親友、カウンセラーなど)
2. 空間としての安全基地
安心して過ごせる部屋や居場所(例:お気に入りのカフェ、静かな書斎)
3. 内的な安全基地
「自分の心」との関係。セルフコンパッションや自己対話ができる力。
最初は外的な安全基地(他者や場所)から始めて、少しずつ内的な安全基地を育てていくのが、愛着障害の克服の基本的なステップです。
自分で安全基地を作る方法

「安全基地」と聞くと、特別な人や特別な場所が必要だと思うかもしれません。
しかし、安全基地は「自分の選択と意識」で少しずつ築いていくことができます。
ここでは、外的な安全基地(他者・場所)と内的な安全基地(自分との関係)の両面から、自分で安全基地を作る具体的な方法をご紹介します。
1. 小さな「安心」を意識して集める
安全基地は、いきなり完成するものではありません。
まずは「この人といるとホッとする」「この空間だと力が抜ける」といった、小さな安心体験を意識的に集めるところから始めましょう。
たとえば:
- 話を否定せずに聞いてくれる人との会話
- 落ち着けるカフェやお気に入りの公園
- ほっとできるルーティン(夜のお風呂、温かい飲み物など)
「安心できる感覚」を日常の中に少しずつ取り入れていくことで、心の安全基地は育ちます。
2. 自分に優しく話しかける練習をする
内的な安全基地づくりの第一歩は、「自己否定を手放し、自分に優しくすること」。
たとえば失敗したとき、いつも「またダメだった」「自分はダメだ」と責めてしまう人は、「そう思っても仕方ないよね」と自分の感情に寄り添う言葉をかけてみてください。
初めは違和感があるかもしれませんが、繰り返すうちに、内側から安心感が育っていきます。
▼自分に優しくすることに罪悪感を持ってしまう人へ
3. 安心できる人との関係を大切にする
安全基地は「他者との関係性」の中でこそ育ちやすいものです。
完全に一人で作ろうとすると、無意識のうちにこれまでの思考パターン(例:人に頼ってはいけない)に引き戻されることがあります。
「この人の前なら素直になれそう」「少し気をゆるせる」と感じる相手がいたら、その関係を大切に育ててみましょう。
安心は、人との関係の中で学び直せるものでもあるのです。
自分で安全基地を作る難しさ

自分でも安全基地を作ることは不可能ではありませんが、愛着に傷を抱える人にとって、簡単なものではありません。
「誰も頼っちゃいけない」
「甘えると嫌われる」
「本音を見せたら捨てられる」
こういった思考や行動のパターン(認知の歪み:文章下の記事で詳しく解説)が、安全基地を作ることを無意識に拒んでしまうのです。
結果として、安心できる関係を求めながら、無意識に遠ざけてしまうという矛盾した状態に苦しみ続けることもあります。
つまり、「誰とも関わらず、自分ひとりで安全基地をつくる」のは、ほぼ不可能に近いのです。
▼認知のお話し
最速で安全基地をつくる方法

「誰とも関わらず、自分ひとりで安全基地をつくる」のは、ほぼ不可能に近い。
だからこそ、最速で安全基地をつくるためには、カウンセリングの活用がとても有効です。
カウンセリングでは、以下のようなプロセスを通して、安全基地を一緒に作っていきます。
- 自分の思考や行動パターン(認知の歪み)を一緒に確認
例:すぐに自分を責める、人に頼れない、人との距離感が極端 - そのパターンから抜け出す練習を、まずカウンセラーとの関係で行う
失敗しても責められない、安心して気持ちを話せる経験を重ねる - 新しい行動を実際の生活で試すことで、現実の中で「安全基地」を広げていく
安全基地とは「誰かに与えられるもの」ではなく、「一緒に育てていくもの」です。
その第一歩として、カウンセリングがその「土台」になり得ます。
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まとめ

愛着障害の克服には、安全基地の存在が不可欠です。
でも、「自分にはそんな場所や人はいない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
だからこそ、無理に自力でがんばりすぎず、まずは誰かと一緒に安全基地を築くことから始めてみてください。
あなたの安心と回復の土台は、きっとそこから広がっていきます。