反抗期って「親がウザい」感覚?愛着障害の私には理解できなかった世界と、取り戻した「私」という存在

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こんにちは。
元愛着障害当事者で心理カウンセラーをしているちえです。

もしあなたが愛着障害を抱えていたり、その傾向があるなら、きっと「ある経験」が欠けていることに気づいているかもしれません。

それは、多くの人が経験する反抗期です。

お仕事で愛着障害の方たちと関わっていると、「そういえば私、反抗期なかったな」という人が非常に多いことに気づかされます。私も、まさにその一人でした。

最近、彼氏が何気なく言った一言が、私の心の奥底に眠っていた違和感を呼び起こしました。

「反抗期の時って、親がウザくて仕方なかったよね」

その言葉を聞いた時、私は反射的に「あぁ、その感覚は私にはなかったな」と感じたのです。多くの人が共通して持つ「親への反発」という感情が、私には全く理解できなかったのです。

なぜ、私には反抗期がなかったのか? それは「良い子」だったからではなく、愛着の歪みからくる「親を守らなきゃ」という無意識の使命感に縛られていたからです。

このブログでは、反抗期がなかった私の過去を振り返り、それが愛着障害として私の人生にどのような影響を与えてきたのか、そして今、どのようにして「私」を取り戻し始めているのかをお話しします。

「お母さんが可哀想」だった私に反抗期は来なかった

私の反抗期がなかった最大の理由は、心の中にあった「母親を守らなければならない」という強い気持ちでした。

子どもの頃、いつも母から父の愚痴を聞かされていました。そして、家事や仕事を忙しくこなす母を見て、純粋に「可哀想だ」と感じていたのです。

この「可哀想」という感情は、いつしか「私が支えなければ」「私が心配をかけたらもっと辛くなる」というプレッシャーに変わっていきました。

その結果、私は以下のような行動をとるようになりました。

  • 母の言うことは全て守る:自分の意見や気持ちは二の次。とにかく母の期待に応えようとした。
  • 意見を言わない:反抗したい気持ちがないわけではなかったかもしれませんが、それを表に出すことは、「母親を傷つける行為」だと無意識に判断していました。
  • 心配をかけない:私のことで母に余計な負担や心配をかけたくない一心で、常に「良い子」であろうと振る舞いました。

これは、世間一般でいう「親孝行」でも「性格が良い」でもありません。愛着障害における「役割の逆転」、つまり子どもが親の世話を焼いたり、親の感情の面倒を見たりする状態だったのだと、今になって痛感しています。

反抗期に経験するはずの「親との境界線作り」や「自分の意見を通す練習」を全く行わずに、私は大人になってしまったのです。

20代後半で知った「一人」の自由と遅れてきた反抗

大きな転機が訪れたのは、社会人になり、親元を離れて一人暮らしを始めてからです。

物理的に親から離れた生活を送るようになって、私は初めて「一人の自由」という感覚を知りました。誰の顔色を伺う必要もなく、誰にも心配をかけまいと気を張る必要がない。その解放感は、私にとって衝撃的なものでした。

その後、様々な学びの中で自分が愛着障害であると知りました。

そして、過去の経験と愛着障害の知識が結びついた時、私は大きなショックを受けます。

「反抗期がなかったこと」が、こんなにも私の人生に影響を与えていたのだと、深く実感したのです。

反抗期がないまま大人になると、以下のような影響が残ってしまいます。

  • 自分の意見がない:子どもの頃から意見を言うことを諦めてきたため、「私が本当にどうしたいか」が分からない。
  • 過度な他者依存:自分の存在価値を他者からの評価や許可に求める。
  • 境界線が曖昧:他人との間に適切な距離が取れず、利用されたり、逆に過剰に尽くしたりしてしまう。

あの時、親に「ウザい」と言える、自分の気持ちをぶつけられる機会を持てなかった代償は、あまりにも大きかったのです。反抗期は、子どもが自分と親との境界線を引き、一人の独立した「私」という存在を確立するための大切な通過儀点だったからです。

取り戻す「私」という存在

過去を嘆いても、反抗期をやり直すことはできません。

しかし、私は今、「自分を取り戻す反抗期」をひっそりと始めています。

  • 自分の意見を、小さなことから口に出してみる
  • 「ノー」と言っても、誰も私を嫌いにならないことを知る
  • 親とは別の、私の価値観で生きることを選択する

これは、親への反抗ではなく、過去の自分への反抗です。愛着障害という名の鎖で自分を縛り付けてきた過去の私に、「もうあなたは自由だよ」と教えてあげる作業です。

もしこの記事を読んで、あなたが「私も反抗期がなかった」と感じたなら、どうか自分を責めないでください。それはあなたが「悪い子」だったからではなく、「愛着の歪み」の中で必死に生きてきた証だからです。

今からでも、私たちは「自分」という存在を取り戻すことができます。

親孝行という名の無意識の鎖を外し、あなたの本当の気持ちを、小さな声で良いので聞いてあげてください。

あなたの反抗期は、これから始まります。応援しています。

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