愛着障害の克服を目指す人が知っておきたい「認知」の話

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人は、世界や他者、そして自分自身をどのように認識するかによって、感情や行動が決まります。この「認知」の力は、私たちの生き方そのものを形作る重要な要素です。特に愛着障害の方にとって、認知の再構築は克服への大きな鍵となります。

本記事では、認知の仕組みを説明し、狼に育てられた子どもの例を通して認知の変化の可能性を探ります。

認知の仕組み

認知とは、私たちが目の前の状況をどのように解釈し、意味付けするかを指します。この解釈が感情を引き起こし、さらに行動へとつながるのです。この流れを整理すると以下のようになります。

  1. 状況:出来事や環境が目の前にある
  2. 認知:その状況をどのように捉えるか
  3. 感情・行動:認知に基づいて生まれる感情やそれに伴う行動

同じ状況でも認知が異なれば全く異なる感情や行動が引き起こされます

例えば
状況:誰かが笑いかけてきたとき

例1 「好意的だ」と認知すれば安心感が生まれ、笑い返すかもしれません。
例2 「嘲笑されている」と認知すると、不安や怒りを感じ、その場を避けたり攻撃的な態度を取ることもあるでしょう。

つまり、私たちがどのように認知するかが、人生の質に直結しているのです。

認知が変化するとどうなる?

私たちが自分の目の前の状況をどう認知するかで大きな変化が現れます。分かりやすいのが「狼に育てられた子どもの話」です。

その人にとっての当たり前

この話は、1920年のインドで起こった実話です。
狼に育てられた子どもは、四足歩行で移動し、口で物を運び、水を舐めて飲むなど、狼の習性をそのまま身につけていました。この子どもにとって、「狼のように生きること」が当たり前であり、自己認知も「自分は狼」なのです。

では、この子どもがある日「自分は人間である」と教えられたらどうなるでしょうか?

認知の変化がもたらす葛藤と可能性

生まれてからずっと「自分は狼である」と思ってきた人が、「自分は人間である」という新しい認知を受け入れることは、大きな驚きと混乱をもたらします。これまでの「狼としての常識」を捨て、人間として生きる新しい枠組みを取り入れなければならないからです。

最初は、これまでの生き方と新しい認知との間に深刻な葛藤が生じるかもしれません。しかし、この新しい枠組みを受け入れることで、新たな可能性が広がります。人間としての自分を知り、言葉を学び、他者と協力しながら生きるという、新しい人生を手に入れることができるのです。

愛着障害と認知の再構築

愛着障害を持つ人も、ある意味で「狼に育てられた子ども」と同じような状況に置かれています。幼少期に養育者から十分な愛情を受けられなかったり、不安定な関係の中で育つと、自分や他者、世界についての認知が歪む傾向があります。

たとえば、次のような歪んだ認知が見られることがあります。

  • 自分について:「私は愛される価値がない」「どうせ誰も私を理解してくれない」
  • 他者について:「他人は信じられない」「どうせ裏切られる」
  • 世界について:「この世は危険で恐ろしい場所だ」

こうした認知は、感情や行動にも大きな影響を及ぼします。例えば、他人との関係を避けたり、過剰に攻撃的な態度を取ることがあるでしょう。これでは、心の安定や人間関係の充実は望めません

認知の再構築を通じて愛着障害を克服する

愛着障害を克服するためには、この歪んだ認知を見直し、新たな認知を構築する必要があります。以下はその具体的なステップです。これらを日常生活で実践することで、徐々に認知を変えることができます。

step1. 自己認知を見つめ直す

まず、自分の思考や感情を整理するため、日記をつけることをお勧めします。

  • 毎日感じた不安や怒り、そのきっかけとなった出来事を書き出します。
  • その感情にどのような「考え」や「認知」が結びついているかを意識します。
    例:「失敗した=私は無価値な人間だ」と思い込んでいる。

過去の体験が現在の思考にどのように影響しているかを客観的に分析するのが目的です。

step2. 新しい視点を学ぶ

自分や他者、世の中を否定する考えを、新しいポジティブな視点で書き換える練習を行います。

  • 否定的な考え(例:「どうせ誰も私を愛さない」)をポジティブに変換します。
    • 例:「愛されていないと感じるのは過去の経験からきた思い込みであり、今後は違う人間関係を築ける」
  • 朝晩に「私は愛される価値がある」「他人を信じてもいい」といった肯定的な言葉を自分に語りかけます。これを習慣化することで、自己認識が少しずつ変わります

step3. 現実の中で実践する

新しい認知を現実に試すため、小さな行動目標を設定します。

  • 例:職場や学校で、自分の意見を一度だけ伝える。
  • 他人との信頼を築くため、簡単な頼みごとをしてみる(「ペンを貸してください」と頼むなど)。
  • 挑戦した結果に対して「できた自分」を認める習慣をつけます。

実際に実践してみることでしか得られない成功体験や新しい発見をすることが目的です。

実践のコツ

  • 無理に大きな目標を立てず、一歩ずつ進む。
  • 振り返りを行い、自分の変化に気づく。

これらのステップを継続的に行うことで、認知は少しずつ変わり、愛着障害の克服につながります。

認知の変化がもたらす未来

ここまで愛着障害と認知の関係性について解説してきました。

愛着障害の克服は一筋縄にはいきませんが、自分がどんな認知を持っているかを確認しながら、それを修正する作業を継続していけば、確実に克服できるものです。

しかし、今までの人生で自分が常識だと思っていたこと(認知)を突然覆すことはかなり難しく根気のいる作業です。愛着障害の克服を途中であきらめてしまう人がいるのも頷けます。

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