あなたは大人の愛着障害をご存知ですか?
愛着障害とは、通常子どもに対して使用される言葉です。しかし最近では成人した大人に対しても使用されることが多くなりました。
この記事では、大人の愛着障害の特徴や克服方法について徹底的に解説します。
愛着障害とは
愛着障害とは、養育者との心理的な結びつきが上手く作れないこと(=愛着未形成)が原因で、対人関係などのトラブルが生じる状態のことを表します。
子供の時だけでなく大人になってからも、心身の不調や対人関係の困難、生きづらさとなってその人を苦しめ続けます。
例えば…
・共働きで親とのスキンシップの時間が短かった
・虐待や育児放棄
・親から褒められることが少なく、欲求を満たされなかった
・親から否定されることが多かった
・親の機嫌が変わりやすかった(ヒステリック)
・必要以上に制限を受けた
・家庭でのプライバシーが保証されなかった
このような経験が愛着障害の原因になってしまいます。
愛着障害の種類
愛着スタイルが不安定な状態が障害レベル(社会生活に支障をきたすほど)になると、愛着障害と呼ばれます。
愛着スタイルは大きく2つに分類することができ、不安定型は4つに分類することができます。
1.安定型
愛着スタイルが安定している
2.不安定型(障害レベルになると愛着障害)
愛着スタイルが不安定である。4種類に分類できる。
①不安型(甘えられる人には誰にでも甘えようとする、周囲の顔色に敏感で気に入られようと気を使う)
②回避型(何事もないかのようにただ1人で耐える、対人関係に冷めた態度を取る)
③恐れ・回避型(人に過剰に気を使い親しみを求める一方で誰にも心を許せない、他人が信じられない)
④未解決型(親(養育者)との愛着の傷をひきずり、不安定になりやすいタイプで、他のタイプに併存する)
ここで驚きなのが、現代の人の約3分の1の人たちが不安定型の愛着スタイルを持っていると言われているという事実です。
その中でも多くに見られるのが②回避型の愛着スタイルです。
このような人たちは、親密な関係や情緒的なつながりを避けたり、大きな責任を回避しようとする傾向が見られます。
近年問題視されている、結婚率・出生率低下も愛着障害が無関係とは言えません。
結婚や出産などといった責任を回避しようとする傾向は、回避性パーソナリティのような消極的な人生を歩んでいる人だけでなく、一見社会的で、人生をエンジョイしているような人や、社会で活躍している人にも幅広く認められるようになっています。
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参考:岡田尊司、回避性愛着障害~絆が希薄な人たち~、光文社新書
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大人の愛着障害の特徴7つ
大人の愛着障害には様々な特徴がありますが、ここでは代表的な特徴を7つご紹介します。
過度な不安
大人の愛着障害の人は、過度な不安を抱えやすいです。
パートナーや友人との関係において、自分が見捨てられるのではないか、あるいは拒絶されるのではないかという強い不安を持ち続けます。この不安感は、幼少期に親から十分な基本的信頼感を得られなかったことや、両親の離婚、虐待、あるいはネグレクトの影響で形成されます。
結果として、期待に応える「良い子」でいる、頻繁に連絡を取る、相手の顔色を常にうかがう、あるいは相手の反応に対して過剰に反応しやすくなるなど、ありのままの自分を隠す行動や不安を解消する行動をしてしまうのです。常に心を許す相手がおらず、安らぎを感じられないことが愛着障害の人を苦しめているのです。
自己肯定感の低さ
幼少期に親から十分な愛情やスキンシップを得られなかったり、親の都合に合わせた育てられ方をした場合、子供は自分自身の価値に対して疑念を抱きやすくなります。「どうせ自分なんて」という否定的な思考が強くなり、他人に合わせて我慢を続けた結果、自分を「ダメな人間」と感じたり、他者から愛されていない、受け入れられていないと感じ続けることが多いです。
この自己肯定感の低さは、日常生活だけでなく、仕事や恋愛などのさまざまな場面で大きな影響を与えます。
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感情コントロールの難しさ
愛着障害の人が感情コントロールに難しさを感じるのは、幼少期に親との間で適切な感情表現が学べなかったことが原因であることが多いです。
例えば、虐待や無視を受けた経験があると、感情を正しく表現する方法を知らないまま成長します。その結果、感情が爆発的に表れることがあり、時にヒステリックになったり、激しい怒りを感じたりします。怒りや悲しみをコントロールできないことで、最悪の場合、自傷行為やOD(オーバードーズ)などの危険行動や、うつ病、摂食障害などに移行してしまうこともあるのです。
この感情の制御ができない状態は、本人にとっても非常に辛く、周囲との関係を悪化させる原因にもなります。
全か無か思考
全か無か思考は、極端な思考パターンです。幼少期に機能不全家族や不安定な家庭環境で育った場合、状況を柔軟に捉える能力が育まれにくくなります。
そのため、すべてを「良いか悪いか」、あるいは「白か黒か」のように極端に判断しがちです。例えば、他者の小さなミスを大きな裏切りと感じたり、少しの不満があれば全体を否定するなど、状況や人間関係を極端に判断する傾向が見られます。
この思考が極端であるため、自己の価値観や感情が揺らぎやすく、対人関係にも悪影響を及ぼすことが多いです。
対人関係の問題
対人関係の問題は、大人の愛着障害の中でも最も目に見える形で現れやすい特徴です。
幼少期に親や家族との間で安心していい環境が提供されなかった場合、成長してからも他者との適切な距離感を掴むのが難しくなります。他者とのコミュニケーションで心を開けない、感情的なやり取りを避ける、あるいは逆に他者に過度に依存するなど、バランスを取ることが苦手です。
また、恋愛においても同様で、自立した関係を築くのが難しく、相手に対して過度なスキンシップや依存を求める場合があります。
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自分を客観視できない
自分の感情や行動を冷静に見ることができないため、自分がどのような状況に置かれているかを正しく認識できません。
幼少期に叱られる、あるいは条件付きでの愛情を受ける経験が多いと、自己評価を他者の評価に依存するようになりがちです。例えば、他人からの評価や反応を過度に気にし、親の機嫌や他者の期待に応えようとするばかりで、自分自身の気持ちや価値観に気付くことが難しくなります。このような状態では、自己診断ができないため、問題に気付かずに放置してしまうことが多く、結果として自己価値感のさらなる低下や精神的なストレスが増大します。
過剰な気遣い
幼少期に「嫌われることが怖い」「怒らせてはいけない」という経験を繰り返していると、大人になってからも他者に対して過度に気を使うようになります。これは、他者からの評価や愛情が自己価値に直結してしまうためで、他人の感情に過敏に反応し、常に相手の顔色をうかがい続ける状態が続きます。
「ちゃんとしないといけない」という強いプレッシャーを感じ、自分自身を犠牲にしてでも他者を優先しようとすることが多く、これが結果的にストレスや疲労を増大させます。このような過剰な気遣いは、本人にとって非常に負担であり、精神的な疲れや自傷行為にもつながりやすいです。
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愛着障害の克服方法
愛着障害を克服するためにはどのようなことをしていけばよいのでしょうか?
愛着障害の克服を目指すには、愛着障害の方が常に持っている不安感を解消してあげる必要があります。
そこで重要だと言われているのが「安全基地」です。
安全基地とは、「精神的に安心できる場所」のことです。
本来、母親が安全基地として機能し愛着を形成していきますが、愛着障害の方の場合は母親が安全基地として成り立たたなかったことが原因で愛着形成ができていません。
そのため、愛着を再形成していくためには、理想の母親のようなどんな自分でも受け入れてくれるような温かくて安心できる場所に身を置く必要があるのです。
詳しい克服方法、生きづらさを解消する方法については下の記事で解説しています↓
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あなたが大人の愛着障害かなと思ったら
ここまで、大人の愛着障害の特徴と克服法について解説しました。
愛着障害を克服することは、決して平坦な道ではありませんが、心理療法などを取り入れて自己理解を深めていけば状況は良くなります。
赤ん坊の時に愛着を形成できるかが人生に大きく影響をもたらしますが、その時期に愛着形成できなかったとしても、実は今からでも遅くありません。愛着は再形成することが可能だからです。
どうかあなたの心だけに閉じ込めないでください。
心理カウンセラーちえは、共に辛さに寄り添い、歩んでいける存在を目指しています。