「発達障害」と「愛着障害」は、どちらも子どもの成長や対人関係に困難をもたらす問題として議論、研究されています。
最近では両者の違いの分かりにくさから、誤診されるケースも少なくありません。大人になるまで愛着障害であることに気付かず、「大人の愛着障害」として苦しむ人が増えているのです。
発達障害とは?
発達障害は、脳の機能の偏りにより、認知や行動に特定の困難を感じる状態です。先天的に持って生まれた特性であり、通常は乳幼児期からその兆候が見られます。発達障害には、以下の主な種類があります。
ASD(自閉スペクトラム症)
ASDは、社会的なコミュニケーションや対人関係の形成において困難を伴う障害です。以下のような特徴が見られます。
- 人と目を合わせない、または視線を避ける
- 感情の表現や他者の感情を理解するのが難しい
- 特定の行動や興味に固執し、それ以外のことには無関心である
- 社交的な状況での困難や、他者と適切な距離を保つことが難しい
ASDは、乳幼児期から兆候が現れることが多く、社会的なスキルを自然に学びにくいことが特徴です。そのため、友人関係にも躓くことが多いです。親や養育者が早期に専門的なサポートを受けることが、対人関係や日常生活の適応に大きく影響します。
ADHD(注意欠如・多動症)
ADHDは、以下の3つの主な特徴を持ちます。
- 注意力の欠如: 長時間集中することが難しく、仕事や学業に取り組む際に注意を逸らされやすい。
- 多動性: じっとしていることが苦手で、落ち着きがない行動を繰り返す。
- 衝動性: 考える前に行動してしまうため、無計画な行動を取りがち。
ADHDは、学業や職場での集中力の低下や、多動性によって周囲とのコミュニケーションの行き違いが起こることが多いです。
LD(学習障害)
LDは、読み書きや計算など、特定の学習分野における困難を伴う障害です。LDの特徴としては以下が挙げられます。
- 文字を正確に認識できない、または読解に時間がかかる。
- 書くことや計算に対して極度のストレスや困難を感じる。
LDは知的能力が低いわけではなく、特定の認知機能に偏りがあるため、特定の学習領域においてのみ困難を感じる点が特徴です。
このように、発達障害は多様な特性を持ち、個別の支援が求められる障害です。発達障害を理解し、適切なサポートを受けることが、本人の幸福や社会適応に繋がる重要な要素となります。
また、発達障害は3種類ありますが、その中でも特に愛着障害と混同されやすいのはASD,ADHDの2つです。
愛着障害とは?
愛着障害は、主に新生児期に親や養育者との間で形成される愛着関係が成り立たなかった場合に発生する、対人関係における障害です。
愛着障害の原因
愛着関係の形成には、新生児期に親や養育者からの一貫した感情的な応答が重要です。
例えば、子どもが泣いたり、笑ったり、スキンシップを求めるときに親が応答することで、子どもは「自分は愛されている」「自分の感情は受け入れられる」と感じることができます。信頼の土台になるのです。
しかし、ネグレクトや無視されることが続くと「自分は無価値だ」と感じたり、虐待や体罰、行き過ぎたしつけを受けた場合には親からの愛情や配慮を恐れるようになり、対人関係において緊張や不安を抱くようになります。
このような環境で育った子どもは、やがて人と対等な関係性を築くことが困難になるため、これが愛着障害の根本的な原因にもなります。
愛着スタイルの分類
愛着障害は、愛着関係がどのように形成されたかによって、いくつかの愛着スタイルに分類されます。これらのスタイルは成人期にも引き継がれ、その人の対人関係のパターンに影響を与えます。
安定型愛着スタイル
自分と他人に信頼を置き、適度な距離感を持ちながら親密な関係を築くことができるタイプです。このタイプの人は、感情表現が豊かで、パートナーや友人との関係も安定していることが多いです。
不安型愛着スタイル
このタイプの人は「愛されたい」「嫌われたくない」という強い欲求があり、相手に対して執着しやすい傾向があります。人に対して依存しがちで、適度な距離を保つのが難しいと感じることが多いです。
回避型愛着スタイル
上で説明した通り、親密さや依存を避け、一人でいる方が楽だと感じる人のことを指します。トラブルを避けたい、面倒な人間関係から身を引きたいなどの気持ちから一匹狼のような行動をしたりします。
混合型愛着スタイル
不安型と回避型の特徴を持ち合わせたタイプで、親密な関係を求める一方で、裏切られることを恐れて相手を避けてしまうことがよくあります。
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発達障害と愛着障害の共通点3つ
発達障害と愛着障害が混同されやすい原因には、この3つの共通点が関係しています。
対人関係の困難感
発達障害と愛着障害に共通する大きな特徴は、対人関係での困難感です。
発達障害、特にASDでは適切な距離感を保てない、または人と目を合わせないといった特性が見られます。愛着障害でも、幼少期に安全基地になるべき親と良い関係が築けず、周囲の人と適切な距離を持つことが難しくなります。
集中力と不安
発達障害、特にADHDは集中力の欠如や不安感が一般的な症状です。一方、愛着障害でも、幼少期の不安定な環境から来る不安感や落ち着きのなさが現れ、集中力が欠けていると見られてしまうことがあります。
このように、集中力の問題や不安感という共通の特徴が、どちらにも見られます。
社会生活での孤独感
発達障害と愛着障害の人は、社会的な場で孤独感を抱くことが多くあります。
発達障害の場合は、脳機能の特性からくるコミュニケーションの困難が原因となります。 愛着障害は、幼少期のケア不足が原因で周囲との関係が築けず、孤立することが多いです。
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発達障害と愛着障害の相違点3つ
混同されやすい発達障害と愛着障害ですが、相違点もあります。
原因の違い
発達障害は先天的なもので、脳機能の偏りが原因となります。 発達障害は生まれつき脳の発達に影響を受けるため、神経学的な寄与が主な原因です。
一方で愛着障害は後天的なもので、新生児期の親との関係が正しく形成されなかったことや、ネグレクト、転居などの環境が主な原因です。
感情の表現の方法
発達障害のASDでは、感情を表現する際に特定のパターンや独特な形で現れることが多いです。
一方、愛着障害は親からの愛着不足による不安や警戒心から、感情を表現することに抵抗を感じたり、他者との適切な距離感について考えるあまり、自ら感情を抑制することがあります。
治療方法の違い
発達障害の場合、脳機能の特性に対する理解とサポートが重要です。そのため、専門家による療育や社会的支援が必要となります。
愛着障害では、心理的なケアが中心となり、過去のトラウマに向き合いながら愛着を再形成し、信頼関係を再構築することが求められます。
大人の愛着障害と分かったらしてほしい対処法
大人になってから自分が愛着障害を抱えていると気づいた場合、まず重要なのは「自分自身を理解すること」です。自己認識を深め、自分の行動パターンや物事の捉え方に注意を払いましょう。
過去の養育環境や親との関係性が、現在の対人関係に影響を与えている可能性が高いため、専門家に相談することが有効です。
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